I must humbly and honestly acknowledge that things are really bad
ホーは言葉を媒体のように使いペインティングと組み合わせることで、国内では稀有なシニカルなユーモアを持つ作品を作る作家です。本展では、ホーを代表する特徴ともいえる大型モノリスのような箱型作品たちとは異なる、ホーの遊び心や即興性が顕れる未発表作品が展示されます。
Date/Access
2022年8月20日 11:00 JST – 2022年9月02日 19:00 JST
渋谷区, 日本、〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3丁目32−2 K's Apartment 103
Introduction
この度、マイケル・リキオ・ミン・ヒー・ホー(96年生まれ、米国ハワイ出身)の個展「I must humbly and honestly acknowledge that things are really bad」をHIRO OKAMOTOで開催します。ホーは言葉を媒体のように使いペインティングと組み合わせることで、国内では稀有なシニカルなユーモアを持つ作品たちを作る作家です。UCLAの美術学科でバーバラ・クルーガーやアンドレア・フレーザーといった米国のアートシーンを牽引してきた作家たちに師事し、18年に来日したホーの作品は、クルーガーの影響を色濃く、テキストを用いたメッセージ性のあるものが多いです。本展では、ホーを代表する特徴ともいえる大型モノリスのような箱型作品たちとは異なる、ホーの遊び心や即興性が顕れる未発表作品が展示されます。
ホーは、来日してからの4年間に渡って、作家活動の中で、自身のアイデンティティについて考えることか多かったと言います。夜の電車の中で無防備になるサラリーマンや、飲み会を軸にコロナ禍で露見した社会人の姿。ネオンに照らされた街に徘徊する野良猫。そういった体験に連動する彼にとっての日本のイメージは、静かにも、俯瞰の視点でホーに語られます。本展で初めて発表する「Meltdowns」は、AIツールにホーが入力した文字列から自動生成されたイメージを用いた作品を発表します。キーワードのように連なる単語の列から人工知能によって生成されたイメージたちは、まるでホーの俯瞰の距離を表すように淡々としています。
「VHS BLANK BOX」シリーズは彼が今夏に制作を始めた新シリーズです。渡航の規制が緩和され数年ぶりにハワイに帰省したホーは、自身の幼少期の映像が残っているホームビデオのVHSを実家で見つけたと語る。当時のノスタルジーが現れるレトロで大胆なVHSテープカバーのデザインをもとに、本シリーズではパロディのような遊び心で現代に向けたメッセージを施しています。曖昧だけどおかしい、子供の落書きのようで同時に大人のように風刺的、社会的だけど内心的といった、さまざまなテーマが時間軸で両立している本作は、ホーの大型シリーズにも通ずるシニカルなユーモアを踏襲していると言えるでしょう。
本展のタイトル、「I must humbly and honestly acknowledge that things are really bad(直訳:私は、謙虚に、そして正直に、事態が本当に悪いことを認めなければならない)」は今年のソフトバンク社の決算会見で孫正義の発言を報じた海外メディアの言葉から来ています。現代を取り巻く様々な問題と向き合うなかの、堂々とした諦めのような言葉として、ホーの本展の作品たちに共通する社会のアティチュードを表していると言えるでしょう。
丹原健翔(キュレーター)
ー Solo Exhibition ー
「I must humbly and honestly acknowledge that things are really bad」
MICHAEL RIKIO MING HEE HO(マイケル・リキオ・ミン・ヒー・ホー)
会期:2022.08.20(土) - 09.02(金)
開廊時間:11:00 - 19:00
休廊日:なし
場所:東京都渋谷区神宮前3-32-2 K’s Apartment 103
※御来廊いただく際は、正面玄関インターホンにて「103」をお呼び出しください。
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